こんにちは、ギンジローです。
以前、椿本神社さんの話で少し触れましたが、かつて一度だけがっつり霊に憑かれたことがあります。
あ、怖いのが苦手な方は読まないでくださいね。
それは友人の家に泊りがけで遊びに行ったときのこと。
今から17年ほど前のことになります。
当時、友人は新築のタワーマンションの30階に住んでいました。
うらやましい限りです。
でも、友人は、なんだかイヤな感じがするというのです。
とても素敵なお宅でしたが、使っていない部屋がひとつありました。
その部屋に入ると、クローゼットの扉越しに眼が合いました。
左眼だけ-周囲は闇でした。
んー、いるなあ・・・
なぜそこにいるのかは分かりませんが、どうやら男性のようで、そのときはただ潜んでいる感じがしました。
昼間だったからかもしれません。
そして夜-
リビング横の和室に布団を敷いてもらい、私は横になっていました。
もともと寝つきは良くないほうで、なかなか眠れない私はふと気づきます。
あの、使っていない部屋から、彼が近づいてきます。
廊下を、左腕1本で、床を這って、一歩一歩。
(腕だけど?)
うわー、ヤバい。
来るな!と私が強く念じているときは、近づいてきません。
フッと私の心の力が緩んだ瞬間に、ズッと這ってくるのです。
少しずつ、少しずつ。
どのくらい、心で闘っていたでしょうか。
夜が明ければ彼は力を失うのに-
でも、夜明けはまだ遠く、私は疲弊しました。
彼はもうすぐそばまで近づいてきています。
あと数回、私の精神力が途切れれば、彼は私に辿りつくでしょう。
もう、いいや。
疲れた。
私は抗うのを諦めました。
そして、意識が遠のき、気づけば朝でした。
彼は私の中に入りこんでいました。
私の上半身に彼の体が重なり、その輪郭が少しはみ出して二重になっているのを感じました。
自分に体が鉛のように重く、しんどい。
どうすることもできず、私は友人宅を後にしました。
帰宅してから数日たっても状況は変わらず、困った私は義兄に連絡しました。
義兄は、私とは比べ物にならないくらい霊感が強いのです。
電話がつながった瞬間、義兄は私が憑かれているのが分かったらしく、
「どしたん。あかんやん。」
そして私が説明する前に
「春日さん行こか。」
と言ってくれました。
それからすぐに春日大社にむかい、椿本神社で祓っていただいたのでした。
帰り道、私は義兄にたずねました。
「なんで這ってきたんだろう?」
義兄はさも当然のように言いました。
「だって、腕しかないから。」
ああ、そうか。
ないのか。
私は納得しました。
そして彼の姿がはっきりと脳裏に浮かびました。
「バイクの事故やと思う。」
義兄が付け加えました。
私が見た左眼と左上半身以外が闇に溶け込んでいたのは、事故で失っていたからなのでしょう。
友人が心配だったので、事情を話し、後日私は義兄と一緒に再び友人宅を訪れました。
彼の思念の一部はまだクローゼットに残っているようでしたが、かなり弱く、じき消える、とのことでした。
帰り道、義兄はつぶやきました。
「ヤバそうやったら連れて帰ろうと思ってんけどなあ。大丈夫やわ。」
おそらく彼の大部分が私に入りこみ、春日さん、椿本さんで浄化されたのでしょう。
かなりしんどく、怖い思いをしたのですが、友人のためにも、そして彼のためにも良かったと思っています。
それにしても、義兄よ。
連れて帰る?どうやって??
霊感強いとそんなことも自在にできるのね・・・